
「おい、おいって」

「何すっとぼけてんだお前。上だ、上」

聞きたいこと?
アイテムの相場なら、お前の良心に痛みを覚えろ。
ボッタクリやがって。
「何言ってんだ。苦労して集めたんだ、ちっとばかり上乗せしてもバチはあたんねーだろ・・・って、そうじゃねーよ。俺が聞きたいのはだな」

おっ、お前!!
どこ情報だそれ!?
一番上の画像で “惑わされてない” って叫んだ俺の立場は!!
「ても惑わされたんだろ?」
うん。
「いや、ボス部屋付近で巡回中のロスリック騎士に聞いたんだよ。“天井から降ってくる踊り子さんがスゴいのだ” って。そんなにスゴいの?」
・・・・・・ある意味スゴい。
あのとき俺は、“誓いの水盆” を、どんなコンセプトで作られたのか分からない銅像の前に置こうとしていた。
そしたら、

と、叫びながら何かが降りてきたんだ。

声の主は女性だった。
しかも、降りようとしていた穴に尻がつかえているという。
「うおう!!それで!?」

若干、というかだいぶ画像がブレブレだが、もう少しで尻が抜けそうだった。
俺はもちろん叫んだとも。

「それでそれで!?」

あたふたと遠眼鏡を装備する俺に、彼女は自己紹介をしながら剣を振り回した。
「あたしは “冷たい谷の踊り子” って言うの~。よろしくね~」
せっかくの絶景を見損なった俺は、

そして、二度目のリベンジ。
「じゃ、あたしの舞を見ていって~」
無論、今度は遠眼鏡の装備を怠らなかった。

絶景を堪能するためには、遠眼鏡を両手でしっかりと固定しなければならない。
そのときの俺は絶景を優先し、盾と剣はその辺に転がしておいた。

絶景だった。
そして俺は回転斬り炎エンチャントのご褒美・・・じゃなくて、エグい攻撃を食らった。

「しっかしよー、俺も見てみてーなー。踊り子さん」
行ってこいよ。
今ならボス部屋で待ち構えてるぜ。
しかも、だ。

「そ、そんなにスゴいの?」
回避が追い付けば勝てるかもしれないが、どうしても尻に目が・・・。

そうか。
わかってくれるか同志よ。
「わかるっ!!すごくよくわかっちゃうぜ!!」
ならば、そんなお前に言うことがある。
「なんだ!?なんでも言ってみろ!!」

「ダメに決まってんだろカバ」
チッ!!